「西京焼き」とは焼き魚の一つで西京漬け(白味噌漬け)にした魚を焼いた料理全般を言います。
西京漬けをつくる白味噌は京都の白味噌です。
昔は京都が日本の「都」でしたが、明治維新後、江戸に遷都されて以降、京都を西の都ということで「西京」と呼ばれるようになり、京都の白味噌も「西京味噌」と呼ばれるようになったそうです。
日本では平安時代の頃から食材を味噌漬けにする習慣がありました。
当然魚も生ものですから、保存方法の一つとして味噌漬けがはじまったといわれています。
そんな中、西京焼きは西京味噌の発祥の地である京都の伝統料理として誕生しました。
当初は西京漬けを作るのに手間と時間がかかったため、高級品として貴族や僧侶などしか食べられなかったようです。
庶民に普及し始めたのは室町時代中期からと言われているそうです。
西京焼きにかかせない「西京味噌」。
その歴史については、京都府味噌工業協同組合のホームページに詳しく書かれています。(以下抜粋)
古の都 京都は、1200年以上もの間、政治・経済・文化の中心地として華やかな王朝文化が花開き、この華やかな文化と伝統の中から、米の麹をたっぷりと使い、こっくりと甘口で薄塩な風雅な味わいの白味噌が生まれました。
その後、明治維新により都が江戸へ遷都され「東京」となり、京都をそれに対し「西京」とも呼んだことから、京都に生まれた「京味噌」(地域団体商標登録)の中でも、特に京都の白味噌は「西京味噌」といわれるようになり、今日に至っております。熟成期間が短いことから、原料の良し悪しや米麹の出来不出来が、そのまま味に反映される、ごまかしの一切きかない「西京味噌」。
「良質の原料」と「伝承の技」・・・そして「蔵人の丹精」から得られる繊細ではんなりとした甘味と芳香は、「西京味噌」だけが持つ魅力です。
肌を美しく保つのには「アミノ酸」が欠かせません。
肌の一番外にある角質の天然保湿成分の半分以上はアミノ酸でできているほどです。
一方、大豆が原料の味噌は、発酵される過程で大豆のタンパク質が酵素により分解されてアミノ酸となります。
その中には人間の体に必要な必須アミノ酸8種類全てが含まれているそうです。
西京味噌漬けした魚は全て「西京焼き」ですので、その種類はたくさんあるのですが、11種類ほどご紹介します。
一般的に味噌と相性のよい白身魚がよく知られておりますが、赤身の魚もまた別の食感と香りがあって美味しいです。
銀だらは説明がいらない程、有名になってきました。
昔はメロ(銀ムツ)の西京漬けが最も人気がありましたが、原料のメロが採れなくなってしまい、それ以降、銀ダラは脂のノリが西京漬けにあうとのことで急速に普及しました。
柔らかい身が西京味噌と酒粕の漬け汁と合わさって美味しいです。
深海魚のキンメダイは身に脂があって、銀だらとブリの中間のような身質です。天然の魚ですので味わい深く、西京味噌と酒粕によくあいます。
サワラは天然の原料を使用しています。どちらかというとしっかりとした歯ごたえのある魚で、身に味があります。魚の味を消すことなく西京味噌と酒粕の香りがあります。
銀鮭はチリで養殖が成功している魚です。適度に身に脂がノッていますので、焼いた時にパサつきません。サーモン類に比べてあまり脂っこくないのでちょうどよい味わいです。定番の魚です。
赤魚とは北の寒い海で採れるメヌケなどの総称です。大ぶりの赤魚を使用してますので、ボリューム感あります。西京漬けに特にあう魚です。
メカジキはマグロのような大型の魚です。煮付けやムニエルなどにもよく使用される魚です。ピンクがかった身を西京味噌と酒粕で漬け込みました。しっかりとした味わいが美味しい魚です。
アラスカやカナダの冷たい海で水揚げされるカラスガレイを原料としています。身が柔らかめで脂が多い魚です。洋食ではムニエルで使用される魚で身に旨味があります。
漬け魚の中では安くて旨い魚です。天然の原料を使用していますので、身に魚の味がしっかりとしています。また歯ごたえもよくしっかりとした味わいがあります。
養殖が広く進んでいる銀鮭に比べて、紅鮭は天然の原料です。天然の紅鮭の優れている点は香りです。脂のノリは養殖ほどありませんが、その分身にくどさがありません。銀でなく紅鮭を好まれる方も多いです。
脂ののったノルウェーの鯖を原料としています。脂のノリと西京味噌がよくあいます。定番の魚として有名です。
イカの弾力ある歯ごたえとかすかな甘味、それが西京味噌と酒粕と相まって、驚くほど美味しいです。一度召しあがればやみつきでしょう!
ご自分の好みにあった西京焼きを探してみるのも朝食の楽しみになるかもしれませんね。