「魚より肉」と魚離れが進んでいる一方で、依然として寿司人気は高まっているという昨今。みなさん魚が嫌いというわけではないんですよね! でも、焼き魚はグリルが汚れる、骨があって食べにくいと敬遠されてしまっています……。美味しい干物を食べないなんてもったいない!築地場内に店を構える干物の老舗仲卸「大市」にうかがい、干物についてお話を聞いてきました。
シノブ
日本人は魚を食べなくなってきていると言われていますが、干物もやはり同じですか?
山口さん
そうだねえ。干物の仲卸も、ここに何百軒とあったけど。いまは20数軒です。
シノブ
日本橋から築地に移転してきたときは1600くらい仲卸のお店があったと聞きます。いまは630軒くらいだと。全体的にお店自体も減っていますよね。
山口さん
そうですね。店自体、減っている干物を扱うところはとくに減っている気がしますよ。
シノブ
それはどうしてでしょうか?
山口さん
大きなスーパーさんなどは直接、買い付けにいきますよね。仲卸を通さず直接、加工業社などから買っている価格競争が激しいんでしょうね。
シノブ
それでも築地に来て、魚を仕入れていくお店もたくさんありますよね。
山口さん
うちで扱っている干物は、ものが違います。スーパーさんなどもピンからキリまであるでしょう。こういう上質なものは、いいものを扱っているお店の人が持って行く。いいものを持って行く人のために、うちでは、いいものをご用意しています。
シノブ
いいもの。干物の良し悪しはどのようなところで判断しますか?
山口さん
いい魚、それと加工方法。
シノブ
加工方法というのは、魚を塩水に漬ける、干す、といった工程ですか?
山口さん
脂がないとパサパサの干物になってしまうし、アジやカマスのような身のやわらかい魚は塩焼きにするには問題のない鮮度でも、干物にするには向いていなかったりするので。干物に向いている魚を見分けて、干物にするための開き方で開いて、塩加減や乾燥の技術など、作る方が長い時間をかけて作りあげていく。そうやって作られたものは、やっぱりぜんぜんちがう。本当にうまいですよ。
シノブ
私は、干物って、鮮度が落ちてきた魚を干物にする、あまった魚を干物にまわす……というようなイメージを持ってしまっていたのですが、ちがうんですね。
山口さん
魚を漬ける塩汁も、自分のところの味を守るために、1日の終わりに塩汁を煮て、アクをとって、保管して、繰り返し使い続けたりされているそうですよ。
シノブ
そうなんですね。老舗の鰻屋さんが秘伝のタレを継ぎ足し継ぎ足しで使っているようですね。山口さんがお好きな干物は?
山口さん
対馬の真あじの干物だね。
シノブ
対馬というと長崎の?
山口さん
そうです。対馬海峡で採れた真あじの干物。あのあたりは暖流と寒流がぶつかりあうから海がいいんだろうね。アジはいい餌を食べて大きく育つ。脂のノリがよくて、厚みがあってふんわりとしていて、ごはんが止まりませんよ(笑)
シノブ
そうなんですね、それは食べてみたい!山口さんのオススメの焼き方ってありますか?
山口さん
僕は焦げ目をしっかりとつけたいから、じっくり焼きます。
シノブ
なるほど!焼き魚って、皮もおいしいですよね。ちなみに、冷凍の干物は解凍してから焼いた方がいいですか?
山口さん
凍ったままで大丈夫ですよ。解凍状態がわるいと逆に旨味がでちゃうから。火加減は弱めに、じっくり焼いてください。
シノブ
ありがとうございます!早速、今晩、やってみます!
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用意するもの
クッキングペーパーが真っ黒になっても大丈夫です。クッキングペーパーを取れば、フライパンに汚れは残りません。