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ホッケが好きすぎてホッケについて調べてみた

こんにちは。先日、築地で干物の仲卸「大市」さんにお話をうかがって以来、あらためて干物にはまっている編集部シノブです。アジ、サンマ、サバ……どの干物も大好きですが、今回はホッケに注目してみることにしました。

 

ホッケは2種類、プラス1種類

ホッケはアイナメ科の魚で、マホッケと体に縞模様があるシマホッケがいます。味の特徴は、マホッケは脂はそこまでなく、ほくほくとしていて淡白な味わい。

一方、シマホッケは肉厚で脂がのっていて身がプリプリ、ジューシーで、脂のりの良い魚が好きな人に好まれる味です。

マホッケもシマホッケも、身がしっかりとしているので、皮からほろりと身が外れ、骨離れもよく、食べやすい魚です。ほわりとした厚い身に、甘みのある脂が溶け込んでいて美味。場所によって旬はことなりますが、北海道と東北、北陸の日本海側が主な産地で、羅臼、礼文、秋田、山形、新潟、能登、金沢などからほぼ1年中入ってきます。

 

シマホッケ(学名:キタノホッケ)

水深500メートルまでの大陸棚に棲む。産卵期は初夏から秋で、マホッケより寒冷な水域に生息。体に5〜6本の暗色の縞模様がある。

▲シマホッケ 出典:長崎県水産部ホームページ

 

マホッケ(学名:ホッケ)

成魚は沖合の推進100〜150メートルほどのところに生息。秋から冬に沿岸に近づき、岩礁のさけ目や石の間などに卵を産み付ける。背の部分に茶色いかっ色のまだら模様がある。(出典:長崎県水産部ホームページ)

▲マホッケ 出典:長崎県水産部ホームページ

 

ホッケは本来、群れで回遊する魚ですが、この「マホッケ」のなかで、回遊せずに餌の豊富な岩礁などに棲みつく魚がいます。そこで成魚となり大きくなったホッケを「ネボッケ」と呼びます。根が生えたように岩礁などに定着するので「根ボッケ」です。餌が豊富な場所で成長するので大きく太り、脂がよくのっています。

ネボッケのなかでも、さらに大きくなったホッケを「ドウラクボッケ」と呼び、脂がのった腹部分が赤い「赤ホッケ」、淡い黄色に見える「黄ボッケ」があります。ネボッケのなかでもドウラクボッケはとくに脂がのっている大物です。

 

成長によって呼び名が変わるホッケ

関東では干物が有名ですが、北海道では鮮魚としても人気があり、鮮度落ちの早い魚なので、以前は築地にも干物しか入ってきませんでしたが、最近では輸送冷蔵技術の発展で、生のホッケも入って来るようになったそうです。

以前に、北海道のお寿司屋さんでネボッケのお刺身をいただいたことがあります。淡白な白身で甘みがあり、脂がのっていて、サーモンに近い、とろけるような食感でとても美味でした。

 

▲ほっけのお刺身

 

それと「こういうのも食べたことないでしょ?」と大将が出してくれたのが、ホッケの兜煮でした。

作り方は、ホッケの頭をさっと塩を振り、熱湯をかけ霜降りにし、酒・醤油・みりん・生姜で煮込むのだそうです。頭というより、顔部分を煮込んでいるという状態のその煮付けは、身がたくさんついているわけではないので、食べ方は「チューチュー吸う」。

皮もトロトロで、絶品。日本酒と合いすぎて、頭をチューチューしながら、飲む手が止まりませんでした。もし生のホッケを1匹、手に入れることができたら頭は絶対捨てず、ぜひ試してみてください。

 

と、少し脱線しましたので話を戻し、マホッケは12月頃になると卵から孵り、生まれた稚魚は約1ヶ月かけて15cm前後になるのだそうです。このサイズのマホッケは、体の表面に青味があるので「アオボッケ」と呼ばれます。

ホッケは魚へんに花=「𩸽」と書くのですが、これはアオボッケの群れが海面近くを泳ぐ様子が、花が咲いたように見えるからそのように書くと言われています。

その後、ホッケは成長と共に呼び名が変わります。18cmから22cmのサイズは「ローソクボッケ」、1年を過ぎて春になると、体長は25cmを超え「ハルボッケ」と呼ばれ、この頃までホッケは回遊して生活していますが、2年を過ぎ40cmあたりまで成長すると、岩礁地帯に定着します。これが前述の「ネボッケ」です。

 

ホッケの旬はいつ?

ホッケは一般的に、秋から冬にかけてが美味とされていますが、旬は産地によって異なります。とくにホッケは、傷みが早い魚なので「旬がきた!」といって鮮魚で流通させるのは難しく、干物として、保存がきくように加工されてから売られる魚です。旬のホッケを味わいたいのであれば、旬の時期(産卵前、海水温度が下がる頃)に、旬の漁場で獲れたホッケを干物にしたものが味が良いそうです。

ホッケの主な水揚げ地は北海道、秋田県、青森県、新潟県、北陸の日本海側が主な産地で、北海道のホッケ漁獲高は全漁獲高の9割をしめています北海道周辺のホッケは、産卵期の違いから上図のように4つのグループ(系群)にわけられます。

  • ユーラシア大陸東岸の沿海州沿岸に生息する「沿海州系群」
  • 襟裳岬西岸から南部千島、羅臼沿岸にかけての「羅臼~太平洋系群」
  • 道南日本海から道南太平洋および本州沿岸にかけての「道南~本州系群」
  • オホーツク海から道北日本海にかけての「北部日本海~オホーツク系群」

ホッケの産地として有名な、羅臼・礼文・日高などの地域では、それぞれに旬があり、その時期に良いホッケを水揚げします。羅臼は9〜10月頃、礼文は7〜8月頃、日高では11〜12月頃です。ホッケは総じて安い魚ですが、羅臼、礼文、日高のホッケは「三大ホッケ」と呼ばれ、築地でもその評価が高く、最高級と言われています。

 

・・・と、ホッケについていろいろ調べていたら食べたくなってきてしまいました。
そうそう、先日、干物の仲卸「大市」さんで美味しい干物の見分け方を教えていただきました。

 

▲大市の山口さん、干物のプロです

 

「ぱっと見て、丸い形をしているのが太っている魚を開いたってことです。できれば横から見たり、指で厚さを確かめたりしてね。あとは、色つや。自然な魚の色が出ていて、透明感があって、照りがあるのがいいよ」と大市の山口さん。

肋骨が身から離れて立ってしまっているものや、つやつやしすぎているもの、黄色っぽく脂焼けしてしまっているものは避けた方が良いそうです。早速、探しに行ってみたいと思います!


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編集者/ライター。東京・下町生まれ。旅と町歩きとカメラが趣味。人生最後の晩餐はお寿司と決めている魚好き。