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妊娠中でも魚が食べたい!不安な妊婦さんへ魚屋からのアドバイス

妊娠中に魚を食べるときには注意が必要

妊婦さんが食事に気をつけなければならないことは、多くの人が知っています。しかし、妊婦さんが知らないうちに食事を通じて水銀を過剰摂取するおそれがあることを知っている人はどれだけいるでしょうか?

 

 

お寿司やお刺身など、日本人であれば食べる機会も多いのが魚。
しかし、種類によっては、妊娠中の摂りすぎに注意が必要な魚がいます。

調査によると、54.8%の妊婦さんは、魚を食べる際には注意が必要ということを「知っている」と回答したものの、実際に食べる魚の量に注意を払っている妊婦さんは28.7%にとどまっています(日本母性衛生学会の学会誌『母性衛生』より抜粋)。

では、実際に妊婦さんは魚をどのくらい食べられるのでしょうか。
今回は、食べることによるリスクや食べる時の注意点などをご紹介します。

 

食べすぎてはいけない魚とその理由

厚生労働省は妊婦の魚食と水銀リスクについてパンフレット(「これからママになるあなたへ~お魚について知っておいてほしいこと」)を作成し、妊娠中に食べてもいい魚や気をつける魚、摂取量などについて注意を喚起しています。

 

体に悪い影響を与える水銀とは?

パンフレットの中には、私達がよく知っている魚も含まれています。
例えば、マグロは普段の食卓にも出る魚で栄養価も高いことで知られています。たんぱく質やDHAを多く含んでおり、そういう意味では、むしろ妊婦さんが摂るべき食材ではあります。ですが、マグロや、次にあげる一覧にある魚の多くには「メチル水銀」という物質が多く含まれています。

水銀は水中や土壌中で微生物の働きによって化学変化し、メチル水銀ととなります。海水にも含まれており、生態系の食物連鎖の環の中で徐々に濃縮していきます。そのため、食物連鎖上位のマグロなどでは濃度が高くなってしまうのです。母親が食事を通じて水銀を摂取すると、胎盤を通っておなかの中の赤ちゃんに蓄積されます。赤ちゃんは水銀を自分で排除する力がないため、その影響を受けやすいのです。

専門家によれば出産後に赤ちゃんが神経障害を引き起こしたり、その運動機能や知能の発達に影響が出る危険性があることも指摘されています。そのため、妊娠期間中には過剰なメチル水銀を摂取しないよう、その摂取量を調整する必要があります。

 

 

どんな種類の魚なら安心して食べられるの?

 

以下は、「これからママになるあなたへ~お魚について知っておいてほしいこと」に記載されている食べてもいい魚や気をつける魚の一覧です。

気にせず食べられる魚
コハダ・ビンナガ・メジマグロ・ツナ缶・サケ・アジ・サバ・イワシ・サンマ・タイ・ブリ・カツオなど

食べる際に注意が必要な魚
以下は1回の摂取量を1人前(80g)とした場合の目安です。

週に2回まで
キダイ・マカジキ・ユメカサゴ・ミナミマグロ(インドマグロ)・ヨシキリザメ・イシイルカ・クロムツ

週に1回まで
キンメダイ・ツチクジラ・メカジキ・クロマグロ(本マグロ)・メバチ(メバチマグロ)・エッチュウバイガイ・マッコウクジラ

2週に1回まで
コビレゴンドウ

2ヶ月に1回まで
バンドウイルカ

 

妊娠中に必要な栄養素

気をつけて魚を食べたとしても、必要な栄養素が摂れなければ本末転倒です。妊娠中は普段とは違う身体の状態になっており、必要な栄養素も異なります。特に妊娠中に摂取したい栄養素には以下のようなものがあります。

1.鉄分
2.ビタミンB群(B6、B12、ナイアシン)
3.葉酸
4.EPA、DHA
5.良質なタンパク質(アミノ酸スコア100)

1.鉄分
貧血予防のためにもたくさんの鉄分を摂る必要があります。
女性が1日に必要な鉄分の推奨量は10.5㎎とされていますが、妊婦の場合は、初期~後期の間に通常の12.5㎎から25.0㎎の量が必要となります。

2.ビタミンB群
上記の鉄分は単体だと吸収率があまりよくありません。
そこで、ビタミンB群を一緒に摂ることでその吸収率をアップさせることができます。

3.葉酸
葉酸が不足すると、神経管閉鎖障害のリスクが高くなってしまいます。
葉酸はもともと吸収率が悪い成分なので、球種率を上げるためにビタミンB12も一緒に摂るとよいと言われています。妊娠中には様々な栄養素が必要になりますが、特に葉酸は、葉酸サプリからの摂取を厚生労働省も注意喚起しています。。

4.EPA、DHA
EPA、DHAは免疫力をアップさせる効果があります。
妊娠中は赤ちゃんに栄養をとられ、母体の免疫力が低下するため、できるだけ多く摂りたい栄養成分です。この二つの成分は体内で作ることができないので、食品から摂る必要があります。

5.良質なタンパク質(アミノ酸スコア100)
良質なタンパク質は、人体の構成成分の主原料です。身体の成長を促進して筋肉も強化してくれます。特に妊婦にとっては、免疫力をアップしてくれる強い味方です。

 

妊娠中に食べたい理想の魚

妊娠中に気にせず食べることができて、必要な栄養豊が摂れる。
そんな夢見たいな魚はあるのでしょうか。

それがあるんです。
しかも身近なところに。

それが“カツオ”です.
では、さっそくカツオの持つ栄養素を見ていきましょう!

1.鉄分
かつおを100g(約10キレ)の中には1.9㎎の鉄分を摂ることができます。

2.ビタミンB群(B6、B12、ナイアシン)
カツオには鉄分だけでなく、一緒にビタミンB群も含まれており、妊娠中に鰹を食べることで相乗効果が期待できます。

3.葉酸
生鰹の葉酸の含有量は100g6㎍です。かつおだけでは推奨量を満たしません。しかし、カツオがすごいのは、そこではありません。葉酸の吸収率を上げるビタミンB12が多く含まれているところです。葉酸の補給は他の食材で補い、カツオで効率よく吸収を促していきましょう。

4.EPA、DHA
カツオにはEPA、DHAも多く含まれています!

5.良質なタンパク質(アミノ酸スコア100)
カツオには、必須アミノ酸9種類全部が含まれている良質なたんぱく質です。またビタミンB6も含まれており、一緒に摂ることで良質なタンパク質が体内で有効利用されるのを促します。

 

妊婦さんがカツオを食べる時の選び方

妊婦に必要なたくさんの栄養素が入ったカツオ。
妊娠中でも美味しく安全に食べたいですよね。

ですが、一般的に妊娠中は生ものを控えるようにいわれています。
なぜなら、「食中毒」「治療が困難」というリスクがあるからです。

妊娠中はホルモンのバランスが乱れて抵抗力が通常よりも低くなっているため、食中毒にかかりやすいといわれています。また、妊娠中は治療のための薬が限られてしまいます。結果として治療が困難になるケースが多いため、食中毒には注意が必要なんですね。そのため、妊娠中にカツオを食べたい時は、なるべくタタキになっているものがよいでしょう。

 

カツオのタタキを美味しく食べる方法

カツオの食べ方で一番美味しい食べ方は、にんにくをまぶしたタタキが良いと言われています。

かつおの刺身が苦手という方は多いですね。にんにくはその臭みを低減してくれるだけでなく、プラスアルファで疲労回復効果もあります。かつおはタタキはにんにくを効かせて食べるのがおすすめです。

 

まとめ

かつおは妊婦さんに必要な栄養がたっぷり。食べ過ぎに注意すれば気兼ねなく食べてもよい魚です。単純に”生魚はダメ”と決めつけず、食べても大丈夫な魚を摂取し、バランスのよい食事を心がけましょう。

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