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魚の知恵袋「魚の締め方」

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魚の旨味のヒミツは「イノシン酸(IMP)」。

「イノシン酸(IMP)」は生きている時にはほとんどなく、死後硬直後、
エネルギーの元となる「アデノシン3リン酸(ATP)」が分解されて生成
される。

魚は、獲られてから死ぬまでに暴れたり、ストレスで、「アデノシン3リン酸
(ATP)」を消費する。

だから、「締め方(殺し方)」が重要となるのです。

【「締め方」の種類】

締め方の種類は大きく分けて3種類あります。

1.野締め
2.氷締め
3.活け締め


1.野締め

漁の水揚げ中に魚が死んでしまうもの、または死ぬのを待ったものなどを言いま
す。(血抜きしていません)

2.氷締め

海水にたっぷりと氷と塩を入れた中に獲った魚を直接入れて、いわば凍死させ
ることをいいます。

3.活け締め

生きた魚の急所(目の後ろ)に手鉤(てかぎ)を打ち込み、気絶させて、おと
なしくさせます。この時点では魚はいわば脳死状態で心臓は元気に動いていま
す。
この気絶した魚のエラから包丁を入れ、延髄と大動脈を切断して、さらに、
尻尾の付け根にも切込みを入れて、海水の中で体を折り曲げて体内の血液をでき
る限り抜き取ります。

獲れた魚をその場では締めずに市場まで活かして持ってきて、一晩暗い場所で落
ち着かせ、ストレスがとれたところで活け締めする場合もあります。

【当然ながら「活け締め」が一番!】

重要なのは、前述したように「アデノシン3リン酸(ATP)」を消費させない
ことですから、当然なが「活け締め」が一番です。

さらに上手に「活け締め」された魚は、死後硬直が始まるのが遅くなります。
つまり鮮度が良い状態が長く続くわけです。

当店のマグロをご購入して頂いた方はご存知かと思いますが、解凍後「縮れ
(ちじれ)」が起こります。

これは、そのタイミングで死後硬直が始まったということで、鮮度の良い証し
(あかし)というわけです。

なお、そのタイミングから「アデノシン3リン酸(ATP)」の分解がはじまり、
旨味成分の「イノシン酸(IMP)」に変わっていくわけですから、「寝かせる」
ことが重要なわけですね。
(マグロなら一晩くらい寝かせるようオススメしています)

今回は、”締める””締める”と何度も言いましたがが、よくよく考えると、
”殺す””殺す”と連呼しているわけです。
殺人ならぬ殺魚ですからね。

「生」を摂り込み「生」きる。

自然の摂理とはいえ「感謝」の一言です。

 

当店の鮮魚いろいろ

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編集者/クリエイティブディレクター。アナログゲームとブリの照り焼きを愛する元農家。お米は土鍋で炊く派です。