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魚の知恵袋「水産物の流通のしくみ」

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大きく分けると2つの流通

ひとえに「水産物の流通」といっても様々ですが、大きくわけると2通りあり
ます。

築地市場のような”市場”を経由する「市場流通」と、
そうでない「市場外流通」です。

後者の「市場外流通」は、回転寿司や外食チェーン、スーパーなどがほとんど
です。
商社や大手水産会社が海外から大量に水産物を買い付け、直接販売します。

冷凍魚や養殖魚に多く、マグロなどは半分が市場外流通です。

年々この流通量は増加傾向にあり、現在、その量は市場流通量に匹敵するほど
までになっております。

ここでは、前者の「市場流通」を深掘りしていきましょう。


「市場流通」のしくみ

「市場流通」の流れは大雑把にいうと次の通りです。

漁業者 → 地方卸売市場(産地市場)・メーカー

→ 中央卸売市場(中央市場)→ 小売業者 → 消費者

水産物の「中央卸売市場」は、全国38都市に44市場あります。

世界一の水産物市場である築地市場の流通量は、減少傾向にあるものの、
現在でも約4,000億円あり、全中央卸売市場の流通量の約1/4を占めます。

ちなみに「地方卸売市場」は全国に1,000以上あります。

メーカーとは、例えば明太子のような製造メーカーがあたります。

「中央卸売市場」のしくみ

中央卸売市場の中をみてみると、次のようになっています。

(地方卸売市場 →) 卸売業者 → 仲卸業者 (→ 小売業者)

「卸売業者」は、通称「荷受(にうけ)」と呼ばれており、

築地市場の水産物荷受は、7社あります。

荷受は、市場に入ってくる水産物をよっぽどの理由がない限り断ることはできず、
責任をもって販売しなくてはなりません。

荷受は「セリ」を行ったり、魚種によっては大口顧客へ相対(あいたい)で販売
します。

また、荷受の手数料は5.5%と決まっています。

一方、仲卸業者は、年々減少しておりますが、現在約650業者あります。

それぞれの業者は、当然得意不得意があり、全ての魚種を扱っているわけでは
ないですが、お客の要望に応えるために、同業同士で助け合って対応しています。

手数料は、お客ごとに違います。取引量や取引期間によってさまざまです。
だいぶ幅はありますが、10~30%ぐらいです。

「市場流通」のメリット・デメリット

市場外流通量が増えていき、市場流通の価値が低下している風潮ではありますが、

当然、どちらの流通にもメリット・デメリットがあります。

【市場流通のメリット】

・小ロット対応可能のため、幅広い魚種を取り扱える。

・広域から入荷があるため、供給が安定している。

・流通過程で、複数人の「目利き」をクリアしているので品質が保証されている。

【市場流通のデメリット】

・流通過程で手数料がかかるため、市場外流通よりコストが発生する。

さいごに

工業製品と違って水産物は、人の力が及ばぬ要因に大きく作用されることも多く、

また「生き物」を扱っている難しさもあります。

よって流通に関わる人は、おおらかな人が多いように思います。

ただこれが時として悪くでて、イイカゲン、テキトウになっています。

こんな業界にたずさわる者とし、私どもは悪しき習慣は常に改め、少しでも
お客様に誠実に商売をして行きたいと思っております。

by
編集者/クリエイティブディレクター。アナログゲームとブリの照り焼きを愛する元農家。お米は土鍋で炊く派です。