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ヤマト運輸値上げについて

ヤマト運輸が2014年4月より全国的に値上げとなり、築地場内のヤマトもとうとう6月から値上げとなりました。値上がりしたこと自体よりも、発送の仕事に「阿吽の呼吸」がなくなってしまったことについて書いてみます。

ヤマト運輸一斉値上げの裏側

朝日新聞がヤマト運輸や佐川急便のクール便でずさんな温度管理(常温で放置)がなされている事をスクープしたことが、ヤマトの配送料値上げ決定の後押しをしたと思われます。昨今の物流量増に対応して設備投資をしてきたので、ある時期では値上げせざるをえないと考えていたのでしょう。

さて、築地でのヤマト運輸の荷受の変遷ですが、3年以上前まではどんな大きさでも最も小さい60サイズに換算した一律の配送料で受けてもらえてました。ヤマトの荷受場に持って行くと、「こんなデケーの冷蔵庫入らないよ」「まぁまぁ。よろしく持ってってよ」というやりとりがあって結局配達してもらってました。

この「まぁまぁ」には、こちらが譲歩することも含まれます。それはどういうことかというと、問題になったクール便の温度管理です。当時のヤマトや佐川でのクール便の温度管理がある程度いい加減なのは分かっていました。こちらは魚屋としてお客さまのお店まで魚を良い状態でお届けすることに細心の注意を払っています。気温が高ければクール便の冷蔵で出す場合でも、袋氷(ビニール袋に氷をいれて口を縛ったもの)を魚にあてます。マグロを冷凍便で出す場合でも、前日には-50度でカッチカチにしてドライアイスの欠片を同梱します。活きているクルマエビを送るときはさらに繊細です。クルマエビはオガクズに入れて送るのですが、気温によって冷蔵便では寒すぎる(仮死もしくは死んでしまう)ときには、冷やし(保冷剤)を新聞にくるんであてがってから常温便。夏に向けて気温が高くなってきたらオガを厚めにし、冷蔵便で送ります。最終手段はポンプ付き水槽で送る!ヤマトに内緒で水槽にした発砲スチロールを渡しましたが、水が入っているのがバレて怒られた。箱を持ち上げればタプンタプン揺れるのでそりゃバレます。これはまぁまぁの範疇ではなかった。(^^ゞ

それが2年位前よりクール便では最大の120サイズ15Kgを厳密に計るようになりました。それでも120サイズを60サイズ換算で荷受けしてもらってましたが、阿吽が少し減りました。

そして6月よりとうとうサイズ別運賃の導入と配送料の値上げとなってしまいました。クール便のサイズは厳密に4つに分けられます。最大の120サイズの運賃は以前の2倍近い料金です。阿吽の呼吸がなくなってしまいました。魚のご注文は実際に荷物を作ってみないと、最終的にどんな箱のサイズになるか分かりませんので、これからは配送のサイズに悩まされそうです。

イチイチ説明しなくてもお互いがプロとして誇りをもって仕事をしてれば、阿吽の呼吸で事がスムーズに運ぶこともあるのにと思います。(実際にヤマトの経営陣ではないので値上げの背景が分かりませんが)今回の場合、長い目で見れば最終的にコストを負担するのは末端の消費者ですので、全てを几帳面に明らかにすることが良い結果を生むとは思えません。

そんなことを考えてますと、築地市場の目の前に件の新聞社があるんですよね・・(^_^;)

いずれにしろ、お客さまに「配送料を払ってもこれなら築地から取り寄せる価値あるよね」と思って頂けるおいしい魚をお届けするということに変わりはありません。これからもどうぞよろしくお願いします。

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編集者/クリエイティブディレクター。アナログゲームとブリの照り焼きを愛する元農家。お米は土鍋で炊く派です。

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